東基連会報‗編集後記【平成30年3月号】

自殺者は減少してきたとはいえ、毎年2万人を超え、自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は平成27年では18.9と先進諸国に比べると異常事態のそしりを免れない。(仏15.1(2013)、米13.4(2014)、独12.6(2014)、加11.3(2012)、英7.5(2013)、伊7.2(2012))本号に掲載した「自殺対策強化月間」、座間市で発生した猟奇的な殺人事件を受けて1項設け、その対策の遂行を宣言しているのは注目すべきことと思う。自殺を防止する対策は要綱に網羅されているが、自殺した以後はどうだろうか。全国自死遺族連絡会のホームページには「一人暮らしの娘がアパートで自死。焼き場に不動産業者が押しかけてきて、5年分の家賃補償(600万円)と改修費(200万円)を請求された。」「息子が夜中に縊死。救急病院へ駆けつけた遺族に、死体検案料13万7000円を即金払いで請求。支払わなければ、遺体の引き取りはできないといわれる。」といった事例が紹介されている。愛する家族を喪い呆然としているところに、こうした非情な仕打ちを受けていることも知っておく必要がある。自殺を巡って、こうした多様な側面があることを承知しているのといないのでは、その前段となるいじめや嫌がらせ、過重労働の防止への取組も自ずと熱の入れ方が違ってくるのではないか。自殺した本人や遺族の周りで何が起きているのか、今一度向き合ってみたい。
(雪割草)