東基連会報‗編集後記【平成29年6月号】

大手広告代理店が労使協定で定めた上限を超える時間外労働をさせていたとする労働基準法違反被疑事件は、自殺した新入社員の上司が昨年末に東京地検に送致されたのに続き、4月25日に本社支社で4名の管理者と法人が検察庁に送致され、労働局での捜査は終結と報道されました。本社、中部支社、関西支社、京都支社に対して強制捜査が行われ、その行方が注目されていたところでしたが、時間外労働を命じた認識を取ることの困難性に阻まれ、捜査の範囲を絞った結果のようです。検察関係者が「かとくの捜査能力はまだ未熟なのに、過大な期待を背負わされた。3歳児が象に立ち向かうような捜査だった」との記事(4月26日、朝日新聞)が強く印象に残っていますが、こうした司法処分とは別に、是正勧告などによる指導によって多額の未払い残業代が支払われたとの記事も目につくようになりました。関西電力のホームページには是正勧告などを受けて行った調査の詳細が掲載され、その末尾には「今回の調査結果を真摯に受け止め、今後も引き続き、「働き方」改革と健康経営に不退転の決意で取り組み、「人を大切にする経営」を実践し、従業員が健康で、活き活きと活躍できる職場環境を実現してまいります。」とのコメントを載せています。司法処分か行政指導か、評価は様々でしょうが、社会の目の厳しさが伝わってくるように思います。
(二刀流)