東基連会報‗編集後記【平成29年8月号】

7月7日の新聞各紙では、広告大手電通の労働基準法違反事件で、東京地方検察庁が法人を略式起訴し、過労自殺した新入社員の上司については不起訴(起訴猶予)としたことを一斉に報じました。これで一件落着かと思いきや、13日の各紙では、多くが1面トップで東京簡易裁判所が略式不相当の判断をしたと報じ、事件は公判での審理に移ることとなりました。予想外の展開に、将来ある新入社員を死に至らしめた長時間労働等に対する社会の厳しい評価を改めて感じます。
本誌でも「平成28年度における過労死等の労災補償状況(東京労働局分)について」を掲載したところですが、脳・心臓疾患、精神障害事案ともに、この3年間増加を続けており、先の電通事件で問われた長時間労働に対する社会全体の取組が、労災補償状況に反映してくるのは何時のことなのか、安閑とはしていられない気分にさせられます。
働き方改革実行計画において示された時間外労働の上限規制の法制化が急テンポで進められている中、各企業においても長時間労働の抑制・過重労働による健康障害防止への取組は、もう猶予無しの状況に来ているように思われますが、如何でしょうか。
(向日葵)