東基連会報‗編集後記【平成29年10月号】

9月8日に行われた東京衛生管理者協議会の研修会に際し、事前にアンケートで「衛生管理者の実務や衛生委員会の運営に関して苦慮していること」などをお聞きしたところ、「定例の委員会は安全と合同で行っており、衛生に関することはとても少ないです」「現場社員に対する衛生問題指導方法に苦慮しています」「衛生管理者の意見より課長、所長の考えが優先されることもあり、なかなか衛生環境の整備が進まない」といった意見が寄せられました。
最近はメンタルヘルス対策に重点が置かれていますが、一口でメンタルヘルス対策といっても、パワハラ、長時間労働、ストレスチェックの実施とその結果に基づく職場環境の改善など、裾野が広く、その担当も安全衛生部署に止まらず人事総務の協力無くして実行は不可能でしょう。
本年6月6日、労働政策審議会は「働き方改革実行計画を踏まえた今後の産業医・産業保健機能の強化について」を建議、法制化に向けた動きが加速しており、各事業場の担当部署やそのスタッフが担うべき役割は一層重きを増してきます。政策が意図する成果を得るには、関係部署、本社と出先機関などのベクトルを合わせ、一丸となった取組が必要で、これを実現するには経営トップの強い意志が何よりも不可欠といえるでしょう。折しも全国労働衛生週間、悩み多き真面目な担当スタッフの声に耳を傾けては如何でしょうか。
(風見鶏)

東基連会報‗編集後記【平成29年9月号】

個別労働紛争の解決制度に関する施行状況が発表され相談、助言・指導、あっせんのいずれにおいても、いじめ・嫌がらせに関するものが4年連続トップとなり、特に、助言・指導においては43.8%増加したとのこと。また、連合「なんでも労働相談ダイヤル」2017年6月分の集計(相談件数1,845件、7月21日発表)でも、「セクハラ・パワハラ・嫌がらせ」が20%と最も多かったとのこと。
一方、6月30日に厚生労働省が発表した「平成28年度 過労死等の労災補償状況」の精神障害の出来事別支給件数を見ると、支給決定された498件のうち、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が74件(14.9%)と「出来事の類型」のうちで最も多く、看過できない被害が生じています。
こうした事情を背景として、昨年12月26日に長時間労働削減推進本部が決定した「『過労死等ゼロ』緊急対策」においても、複数の精神障害の労災認定があった場合には企業本社に対してパワハラ対策も含め個別指導を行うことや、メンタルヘルス対策に係る企業や事業場への個別指導等の際に「パワハラ対策導入マニュアル」等を活用し、パワハラ対策の必要性、予防・解決のために必要な取組等も含め指導を行うことなど、取組の強化を図っています。貴社のハラスメント対策、十分機能していますか?
(風見鶏)