東基連会報‗編集後記【平成30年9月号】

本号掲載の「平成29年度における過労死等の労災補償状況(東京労働局分)について」によれば、精神障害事案のうち業務上として支給決定されたのは108件で前年比19件の増。うち自殺事案は22件で12件の増となっている。厚生労働省が発表した同補償状況によれば、出来事別では「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」が支給決定事案の17.4%(自殺では12.2%)で最多。同様本号掲載の「個別労働紛争の解決制度に関する施行状況」でも、いじめ・嫌がらせに関する相談が5年連続トップとあり、職場への蔓延が危惧される。厚生労働省でも本年3月、「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書を取りまとめ、労働政策審議会での議論・検討を経て所要の措置を講ずるとされており、早期の対応が望まれる。福井県東尋坊でパトロールを続ける元警察署副署長茂幸雄氏の記事(朝日新聞30.7.22朝刊)に「最近は、職場のパワハラで追い詰められた人が多いね。本人は『ごめんなさい』というんだ。でも、本人は悪くない。悪いのは職場の上司や、周りの人たちだ。」「職場から思いやり、愛が消えたね」とある。現場の声が耳に残る。
(百日紅)