東基連会報‗編集後記【平成31年3月号】

旧聞になるが、昨年12月3日、「新語・流行語大賞 トップ10」が発表され、NHK番組「チコちゃんに叱られる!」のチコちゃんのきめ台詞「ボーっと生きてんじゃねーよ!」が入選した。子供から大人に発せられることを前提にしているが、この番組を見たことがない故に返ってそう感じるのか、職場の上司などからこの言葉を投げかけられたらどのように思うかが気に掛かった。大賞の発表を追うように、12月14日に開催された労働政策審議会において、職場のパワーハラスメントの防止対策について、雇用管理上の措置を講じることを法律で義務付けることやその定義、事業主が講ずべき措置の具体的内容等を示す指針を策定することが適当であるとの内容の報告書案が審議された。職場のパワーハラスメントの定義については、
ⅰ) 優越的な関係に基づく
ⅱ) 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
ⅲ) 労働者の就業環境を害すること(身体的若しくは精神的な苦痛を与えること)
の3つの要素を満たすものとされている。「文字」が「ことば」になるとき、たとえそれが流行語であっても、発言の意図が相手を中傷することを目的とするものであれば「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」と言えないか。ただ、発言の「意図」を第三者が見抜くのは至難の業。子供番組の流行言葉とはいえ、異常乾燥状態の職場への恵みの雨とは程遠いのでは。
(伝書鳩)