東基連会報‗編集後記【平成30年5月号】

レスリング女子の伊調馨選手がパワハラ行為を受けたとされる問題は、日本レスリング協会が調査を委託した第三者の弁護士らによる調査の結果、パワハラ行為が認められるとの報告書が公表され、4月6日に開催された臨時理事会において「強化本部長の交代」のほか、報告書で提言された「選手とコーチとの間のルール作り」「セクハラ、パワハラに関する研修会の実施」などが提案、承認され、峠を一つ越えた。出席した理事等からは「私の感性からすると、これがパワーハラスメントかとあらためて認識」「わらわれの時代のパワーハラスメントの概念と今の概念は違う」などの感想と反省が述べられたとのこと。
一方、3月30日に厚生労働省から公表された「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」報告書でも、「パワーハラスメントは業務上の適正な指導との境界線が明確ではないため構成要件の明確化が難しく、構成要件を明確にしようとすると制裁の対象となる行為の範囲が限定されてしまう」などの指摘があり、議論、検討の場を労働政策審議会に持ち越した。平成28年度に労災保険で支給決定された精神障害事案は498件。うち、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ又は暴行を受けた」事案は74件で最多となっている。各側のパワーハラスメントへの認識の隔たりは大きいが、喫緊の課題であることへの認識は共有したい。